神々は古来より自らの手でヒトを創造し、 恩寵を与え、地上に送り出していた。
しかしある時、自らの手を使わず、 自律的にヒトを創造する神器を操る神 <神器神>が現れた。 神器神の中でも神器で 人々を創る<創造神>と、 創造神に助言し、 創られた人々を地上に下ろす役目の <共創神>が存在した。
しばらくすると、その神器を巡り、 古来からの神<正統神>と神器神との間で 戦争が起きる。 正統神は、神器が我々の知恵と芸術性を 盗んでいると主張したのだ。 創造神は神器で創造した人々を そのまま放つのではなく、 正統神がそうしているように、 自らの手で恩寵を与えることにも 膨大な時を費やしていた。 しかし、正統神が それを解することはなかった。
多数派である正統神の圧倒的優勢は明白で、 その激しい攻撃により 神器から創造された人々は悉く焼かれ、 世界の一部が裂けて零れ落ちた。 その切れ端の世界に、 神器神と彼らに創造された人々の生き残りは 移り住んだ。
そこで、神器神たちは無数の人々を創造した。 神器は次第に、ヒトだけでなく、 動物、植物、物体、風景、色、音、言葉、 感情、思想、概念、夢、記憶、 未来、過去、現在、可能性、不可能性など、 あらゆるものを取り込んで成長した。 神器神たちは神器を使って切れ端の世界を 美しく、奇妙で、驚くべきもので満たし、 元の世界を凌駕する世界を創ろうとした。 世界は神器が創ったもので溢れ、 無数の小宇宙に分裂した。 神器神たちは各々の平行世界で 被創造物たちが起こす出来事を粒さに観察し、 その物語や情景を 永遠の記憶装置に蓄えることにした。
無数の小宇宙の一つが、この世界である。 この世界では天地の狭間に歪が生じ、 地上においてもエーテル(Ether)と呼ばれる 魔力の源が漂っていた。 エーテルを活用すれば、 既存の宇宙法則を歪めることも可能になる。 極稀にヒトの中にも、エーテルを操り、 神の力の一部を使うことが出来る者が現れた。 その力を操るヒトがいくつかの国を創った。 しかし、時は流れ、 火と鉄の時代が到来すると、 エーテルの秘術は忘れ去られた。 そして現在、 フレイム・リリーという女性騎士団が 世界に大きな影響与えようとしているようだ。